著者が1930年11月から1933年8月までに獄中から娘に送った手紙を編集した本。第1通目は14歳の娘の誕生日へのプレゼントとして送っているけど、こういう手紙をプレゼントしてくれるパパがいるってすごいですね。西洋中心でない視点を持った歴史を読みたいと思ったのだけど、非常にバランス感覚がある歴史叙述で、しかもふとそこから連想が広がっていろいろ描かれていることがまた幅広いのにびっくり! たとえば古代ローマのハンニバルのところで、彼に会戦を避けて退治したファビウスを取り上げ、英語の「フェービアン」の語源になり、イギリスのフェービアン協会に触れる・・・・スゴイ、すごすぎる。日本の歴史を語る筆は、当時満州を侵略した日本をバシッと批判している。同じく別の獄中に収監されている父親や妻、そして娘への愛情あふれた記述も魅力。