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図書館からの冒険

 

図書館からの冒険 (偕成社ワンダーランド)

図書館からの冒険 (偕成社ワンダーランド)

  • 作者:岡田 淳
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2019/11/12
  • メディア: 単行本
 

 小学校6年生の渉は両親が仕事で外国に行くゴールデンウィークの間、本屋の敬二郎大叔父さんの家にあずけられることになった。いつも本当かウソかわからない面白い話をしてくれる大叔父さんの話の中でもお気に入りは隣にある学校の図書館に夜になると不思議な女の子が現れて、ついにその子と仲良くなってその子の世界にいくという物語。学校は現在廃校になっていて、ゴールデンウィーク明けには取り壊されるという。渉は、大叔父さんがかつてやったというやり方で、こっそり図書館に忍びここんで一晩過ごすという冒険をしようときめた。ところが、誰も入れないはずの図書室に駆け込んできた子がいた。怪しい生き物に追われた子に手を取られて壁に飛び込むと別の世界に来ていた。なんと大叔父さんの話は本当のことだったのだ! ところが、こちらの世界は少し前に見つかった薬草の製造に偏った農業のために農地が荒れ、地震と嵐もあって大変な状況になっていた。しかも水が枯れ、泥の中から謎の生き物が出てきていた。怪しい生き物の正体がこの謎の生き物だった。渉をこちらの世界に連れてきたのはサキという女の子。実は図書館には異世界への扉があり、サキは同じ世界の仲間と思って連れてきてしまったのだ。枯れた水はどうすればもどってくるのか? 泥の中から出てきた生き物の正体は? 渉はサキと共に謎を探っていくのだが、特に謎の生き物の正体の意外性など、さすが岡田さん! と面白かった。ちなみに、一種の薬草バブルのように偏った産業が島を荒らしてしまったという設定も意外と重要ではないかと思った。