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この海を越えれば、わたしは

 

この海を越えれば、わたしは

この海を越えれば、わたしは

 

クロウは、生まれてすぐに小舟に乗せて流され小島にたどり着いた。そこで世捨て人のように暮らしているオッシュに拾われ成長した女の子だ。近くのカティハンク島にすむミス・マギーは二人の世話をして気にかけてくれるが、他の人間はだれ一人クロウのそばに来ようとしない。成長するにつれて、クロウはその理由を知ることになった。近くにあるペキニース島は、かつてハンセン氏病患者の療養所があり、クロウがそこから来た子で罹患しているのではないかと疑っているのだ。クロウの外見が他の人と違うのもその理由の一つだった。療養所には様々な国籍の人が収容されていたという。1925年のアメリカ、マサチューセッツ州沖にある実在のエリザベス諸島をモデルに、クロウのルーツ探しと、現地に伝わる海賊の宝探しを絡めた物語。クロウがその両方を見つけるために動く中で、海賊の宝を狙う悪人と対決する。クロウが本当の親を探そうとする中で、親代わりとして育ててきただけに、そのことを不安にも感じるオッシュとの関係、ハンセン氏病への偏見と、それに毒されないミス・マギーのコントラストなどが鮮やか。ちょっとクロウは性急すぎるが、子どもの思いはじっさいこんな感じかも! でした。