児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ぼくは赤ちゃんがほしいの

 

ぼくは赤ちゃんがほしいの

ぼくは赤ちゃんがほしいの

 

 男の子”なのに”人形遊びがしたいウィリアム。ミルクをあげたり一緒に遊んだり寝かしつけたり、お父さん気分で赤ちゃんの世話がしたいのです。そんなウィリアムを、兄さんや近所の男の子はからかい、父さんはバスケットボールや模型の機関車を買ってきて”男の子らしく”させようとします。でもウィリアムの気持ちは変わりません。ある日遊びに来たおばあちゃんに訴えると、おばあちゃんはウィリアムの味方をしてくれて、長いドレスを着てまつ毛のカールした人形を買ってくれました。そしておばあちゃんはお父さんに言いました。「ウィリアムは父親になる練習を始めているのです。それはとっても男の子らしいことですよ」と。
弟か妹がほしいという意味のタイトルかと思ったら違いました。大人が無意識に子どもを枠にはめて導いてしまうジェンダーバイアス。原書は1972年に出ていますが、このおばあちゃんすごい!と思ってしまうほど日本はまだまだ遅れています。大人が考えさせられ、この絵本で救われる子もいると思います。   (は)