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こぶたものがたり チェルノブイリから福島へ

 

こぶたものがたり チェルノブイリから福島へ

こぶたものがたり チェルノブイリから福島へ

 

チェルノブイリの女の子ターニャが飼っているブタ「まるまる」と、福島に住むなつこの飼うブタ「もも」が、それぞれの原発事故(1986年4月26日、2011年3月11日)の前後で変わってしまった暮らしを語る。
どちらの人間一家も、かわいがっていたブタを残して避難してしまう。ももが無人の家屋に入りこみ、腐りかかった畳もそこに生えるキノコも食べて泥まみれの姿になり、一時帰宅したなつこの母親に気づいてもらえずにたたかれるところは、苦しい場面だ。なつこは車から降りずに見ていてももに気がつくが、どうしようもできない。
ももが言う最後の言葉「わたしを、わすれないでください。」は、原発をつくり事故を起こし未来の人たちの暮らしや自然をも危険にさらしている人間の身勝手を忘れてはいけない、ということです。子どもが読むとブタがかわいそう・・・で終わってしまいそうですが、それでいいとも思います。大人が責任をもって考え伝えていかなければなりません。   (は)