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小児科医が見つけたえほんエホン絵本

 

小児科医が見つけたえほんエホン絵本

小児科医が見つけたえほんエホン絵本

 

 絵本好きな小児科医による「小児科医と絵本」の会が、待合室にテレビやビデオではなく絵本を、読み聞かせを通した親子の心のふれ合いをとすすめる。つまり、幼い子をもつ親と小児科医に向けて書かれています。紹介されている絵本はもちろんプロの選書ではないので、良いもの、うーんなもの半々くらいです。ブックスタートや読み聞かせを医師や病院スタッフが行い、絵本の相談にものっていると言われては、本のプロフェッショナルの司書ではなく?!と疑問を感じます。でも、小児科医は子どもの心や体の発達についてのプロフェッショナル。コミュニケーションの発達に合わせた絵本との関わりについての解説は確かです。福音館書店の「0・1・2」シリーズを示して、この頃は単純な繰り返しが良く、物語絵本はまだ難しいから2歳まではテレビを見せても意味がないんですよ、と話すと母親も納得してくれるのだとか。また、小児科医が読み聞かせをする意義として、幼稚園や保育園の園医として子どもたちに親しみを感じてもらえるというのもなるほどと思います。「診察室の絵本」の章に挙げられた「ねえ、どれがいい?」(バーニンガム作)では、予防注射を前に泣きじゃくる子どもへお医者さんが投げかける究極の質問がふるっています。絵本美術館や児童書専門店のリストがついていて「かかりつけ本屋さん」をもちましょうとすすめていますが、絵本の先の読書も見すえる司書や図書館がここにくいこんでいきたいところです。  (は)