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空色バウムクーヘン

 

空色バウムクーヘン (文芸書)

空色バウムクーヘン (文芸書)

 

 鎌倉の高校に入学した若葉の夢はお笑い芸人。高校生お笑いクイズバトルに出場するため目を付けたのは同じクラスの弥生。自己紹介のおもしろさと長身でがっしりした体型は、若葉の小柄な童顔とのバランスも抜群。さっそく声をかけ相方になることを承諾してもらったが、その代わりウエイトリフティング部に入るはめに。そう、タイトルの「バウムクーヘン」とは、重量挙げの重りを形容したもの。重さによって赤青黄緑白に色分けされている。折りしも、珍しい部活としてテレビ取材の依頼が入り、若葉の大好きな芸人富沢貧々が来ると言う。一気にチャンス到来と張り切る若葉だったが、競技する姿が女子としてどうかと貧々に揶揄されたことで、自分の気持ちがお笑いよりもウエイトリフティングに傾いていたことに気づかされる。そして、若葉や弥生の一生懸命な姿が周囲の人生観を変えていく。打算的に生きてきた兄姉や、中学で若葉をフッた幼なじみ。そして、かのお笑い芸人までも。気楽に読める青春ものです。  (は)