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コピーボーイ

 

コピーボーイ (STAMP BOOKS)

コピーボーイ (STAMP BOOKS)

 

 吃音に悩む11歳の少年ヴィクターが主人公『ペーパーボーイ』の続編。1965年、17歳になったヴィクターは、新聞社でコピーボーイと呼ばれる雑用係としてアルバイトをしている。前作で彼の支えになってくれたスピロさんは、ヴィクターに自分の遺灰をミシシッピ川の河口、海と川が交わるところに撒いて欲しいと遺言してなくなった。自分でそれをやりとげたいヴィクターに対し、母親は強く反対。父親は、急がずに休暇の時に家族旅行で行こうと提案する。だがヴィクターは待てない。新聞社の記者チャーリーに相談し、ミシシッピ河口のニューオリンズの知り合いを紹介してもらい、一人で車を走らせる。不器用だけれど、真剣でまじめなヴィクターは、ニューオリンズの新聞記者パットンを訪ね、さらにフランスから移住した住民が多い地域のアンリ船長を紹介される。そこには一つ年上の勝ち気で美しいフィルという娘がいた。仲が良い一家が話すフランスなまりのケイジャン語は心地よく、自分の吃音を意識せずに楽しく語り合うひとときをもつことができる。だが、フィルにつきまとうジミーとの対立、そして大きな台風ハリケーン・ベッツィーの接近という予期しない事態に直面する。さらに、河口とはどういう場所なのか?という根本的な問題が存在することにも気付かされるのだ。地域で楽しく生きている船長一家だが、すでに湾が侵食されて未来が危ういことを見据えているフィンの母から、表面には見えない社会があることも知らされる。思春期の入口から大人の入口へと成長したヴィクターの成長が頼もしい!