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子どもの美術 1(図画工作教科書)

 

子どもの美術全6巻セット

子どもの美術全6巻セット

 

 図工教育を通して「人間をつくる」。安野光雅さんと佐藤忠良さんが、子どもと教師へ向けて強い思いをこめて作った小学1年から6年の教科書です。
今までの教科書では「教えられない」という考えが、堅い厚手の表紙、字のない目次、語りかけるような文章・・・とにかく教科書っぽくない造りに表れています。
特に「読む」文章があるところに特徴があります。冒頭の「このほんをよむひとへ」では、心をこめてつくりなさい、その中で自然のすばらしさや人にとって大切なことに気づくこと、それが図画工作の”めあて”だと伝えます。
1年生向けには、佐藤忠良さんによる「まごへのてがみ」で「失敗をおそれないで」ということ。ホームラン世界記録の王選手の彫像をつくり、失敗について考えやり直してみることの大切さを知ったことをつづっています。
子どもに対して真剣に向かう、こびない、おもねない、お二人の教科書づくりの姿勢の1つです。初版は1979年、現代美術社より。   (は)