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おれ、よびだしになる(2020課題図書 小学校低学年の部)

 

おれ、よびだしになる

おれ、よびだしになる

 

 ちいさいころからすもうが好きだった「ぼく」は、すもうのよびだしさんが大好きだった。5歳の時、福岡の大相撲を見に連れていってもらった「ぼく」は、直によびだしさんと会い、親切に稽古場の見学に誘ってもらった。「ぼく」はよびだしになると決意し、中学を卒業するとすぐによびだしの修行を始めた。声を出す練習、太鼓の練習、土俵作りなどいろいろな仕事をおぼえ、やっと一人前の呼び出しとしての歩みだすという内容。正直「よびだし」の職業案内のようで、「ぼく」という男の子にリアルを感じない。中卒で、他の同級生とは違う道を選ぶのに迷いはなかったのか? 実際の修行では一番下っ端としての辛さだってあるだろうに、そうした描写はない。感想文を書くとしたら「なりたい仕事になれてよかったね、私も自分がやりたい仕事を見つけます」「じぶんのしたい仕事をがんばるってすごい。ぼくも夢をかなえたい」だろうか? それなりに書きやすいといえば書きやすいかもしれないが、読み継がれていく本とは思えなかった。