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ポリぶくろ、1まい、すてた(2020課題図書 小学校中学年の部)

 

ポリぶくろ、1まい、すてた

ポリぶくろ、1まい、すてた

 

 西アフリカのガンビア共和国の実話を元にした絵本形式の物語。アイサトは、子どものころ初めてポリ袋を見た。それが破けた時、それまでの植物を編んで作ったかごのように、その辺に捨てた。やがてアイサトは大人になった。ふと気づくと、村ではたいへんなことが起こっていた。ポリ袋はありふれたものになっていたが、捨てられた大量のゴミ袋を餌と一緒に飲み込んだヤギが死んでしまったのだ。アイサトは、ゴミの山からポリ袋を集めた。友だちと一緒に考えて、それを洗って細い紐にして編んでサイフを作った。市場でサイフを売って、ヤギを新しく買うお金を手に入れ、これからもポリ袋を捨てずに活用すればゴミはなくなると喜ぶ。あとがきを見ると、ポリ袋は、埋められるとそこに草が生えなくなったり、捨てられた場所に水が溜まって蚊の発生源にもなったという。実際のアイサトの活動のようすが見られるサイトも紹介されている。環境問題というテーマだが、何気なく捨てていたポリ袋がどんな問題を引き起こすのか、アイサト自身が自分で確認し、友だちと解決方法を考えていく過程が具体的に描かれているのでわかりやすい。自分で気付くこと、考えてみること、行動してみること、そんなヒントとしてこの本をやくだてることができるだろう。