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おいで、アラスカ

 

 スフェンは、新しい学校に不安を抱えている。正体がばれる前に、なにかやらかしてそれで有名になりたいと思いながら中学校に向かっていた。パーケルも悩みを抱えている。だが、中学1年の初日に転校生の男の子スフェンに、犬の鳴きまねをしたことをネタに嫌味なあだ名をつけられ、激怒した。おまけにその子はパーケルが以前飼っていて大好きだった犬アラスカの新しい飼い主だとわかり、納得がいかない。弟の犬アレルギーのせいで手放したアラスカは、介助犬になったというのに! 二人の視点で交互に物語は進む。そしてスフェンはてんかんの発作という持病、パーケルは両親の店が強盗に襲われ、その時撃たれて以来、父親が店に行けなくなってしまったというそれぞれの悩みを抱えていることが次第にわかってくる。アラスカと会いたいばかりに、夜に正体を隠すために覆面をかぶって侵入したパーケルは、思いがけず深刻な悩みに苦しむスフェンの素顔を知ることになる。だが、学校で発作を起こしたスフェンのようすを生徒が動画で撮り、それがみんなにまわったことでスフェンは登校を拒否するようになる。そして正体を隠していたパーケルにも激しく反発する。だが、アラスカという絆とある事件がきっかけで二人は力を合わせて立ち向かうことになる。徐々に謎が明らかになるワクワク感や介助犬であるアラスカの魅力など、読者を物語世界にひっぱっていく力がある作品。発作をおこした同級生を動画で撮るむごさも、伝わって欲しいと思う。