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できちゃいました!フツーの学校

 

中野区にある私立「宝仙学園」中学・高等学校には、特色ある学習活動「理数インター」なるものがある。論理的に思考し(理数)、相手にわかりやすく伝えることで人とつながる(インターアクション)というもの。端的にいうとプレゼン力だが、6年間の活動を積み上げるとフツーの生徒が自分の人生を自分事として生きる力を身につけるという。
第1章は「理数インター」を提案した校長による教育観。高校生には「自己ベストの更新を」(他人と比べない、比べられても気にしない)、中学生には「自己肯定感を」(好きなことを、好きなようにやって、手応えを得ること)というメッセージはとてもわかりやすい。第2章は現役教員の教育実践で、生徒たちとの雑談会も掲載。コロナ禍の緊急事態宣言中に「緊急読書宣言」を行い、校長先生と生徒がblogとフライヤーでつながる「読書カフェ」を開いたという超最新情報もある。
筆者の富士校長が「フツーの学校」というのは、フツーに多感で複雑な生徒たちとそれを見守るフツーの教員がいる(偏差値で言ってもちょうど平均にある)学校のこと。ただ、高校の授業を試行錯誤中の私にとって、結局できるところでできた話という気持ちになってしまったのは、ひがみが過ぎるかもしれません。本書は、学校を経営する大人が読むべきと思うが、中高生が読んだら「この学校に行きたかった!」と思うかもしれません。何しろ、中学入試が10種類から選べて「読書プレゼン入試」もあるそうなので!  (は)