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世界名作ショートストーリー モンゴメリ  白いバラの女の子

 

 約1世紀前の短篇だが、楽しく読める。その理由の一つは、主人公の女の子たちが、勝ち気で頑固な子が多いせいではないだろうか? 灯がともらないことを心配して、たった一人で夜の海を渡るメアリー・マーガレットの『ビッグディッパー岬の明かり』。勝ち気で自分の意見をはっきり言う『エリザベスの娘』のワース。その一方で、単純だが善良なおばあちゃんが殺人犯の心を変える『親切な人』、家出をした里子が本人も心ならずのように恩返しをしてしまう『歳月のプレゼント』など人間を信じる思いが伝わる作品もある。“待つ”ことがテーマの作品も複数あり心にしみる。読後がとても気持ちよい。