ジョン・ウィンダムは個人的に大好きな作家だが、これはちょっとラストが甘いのが欠点。また、タイトルも内容と微妙に合っていないように思われる。だが、ストーリーテラーとしてのウィンダムはさすが、ジャーナリストである主人公が新婚旅行中に謎の落下物体を目撃するところから始まり。不穏な空気が徐々に広がるのに、危機は人類に共有されない。事態の真相を見抜いた科学者はただの目立ちたがり屋としてバッシングされ、その間に状況はますます悪化する。なかなかわからない敵の姿。科学者の情報で読者だけが先を推理できる優越感と、これからの展開への緊張は、まるで昔話の予言とその成就のよう。語り手の“ぼく”と妻のフィリスとともになぞ解き冒険ツァーに参加している気分になる。宇宙からの侵略者だが、それがまず深海に潜んで、徐々に正体がわかりかつ、攻撃が増すところがスリリング。人類滅亡か! とまで追い詰められるだけに、最後の反撃がちょっと唐突。ここだけ残念でした。