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ヴンダーカンマー ここは魅惑の博物館

 

ヴンダーカンマー ここは魅惑の博物館

ヴンダーカンマー ここは魅惑の博物館

  • 作者:樫崎 茜
  • 発売日: 2018/10/25
  • メディア: 単行本
 

 希望もしていなかったのに人数調整で県立自然史博物館に職場体験が割り当てられてしまった中学生5人。それぞれが別の部署に振り分けられた。勉強が苦手な男子多嶋育実は魚類担当につく。珍しい魚が見つかったのを引き取りにいく担当者と漁港に行って、魚の不思議な生態にちょっと興奮! 過干渉な母親を持つ橋本恋歌は小脊椎の担当になるが、担当者についてくれたのは頼りない嘱託職員だという百瀬。最初はガッカリしているが、懸命に対応されて心がうごいていく。飯田円佳はハキハキしたバスケ部の女の子。骨格標本の担当になって標本師鈴井を手伝って、フライドチキンの骨でニワトリの骨格標本づくりをする準備をすることになる。いつも自分の意見が言えない口下手な肥後知恵は哺乳類担当。なんとカピバラを連れた除草作業の手伝いで外で仕事をすることになった。保育園児も見学に来てドキドキ。でも園児に頼られてちょっと自信になる。博士とあだ名される瀬川学は無生物。自分のあだ名にコンプレックスがあるけれど、博物館なら本物の博士に会えると思ったのに、行った先にいたのはおばちゃんとおじいちゃんのボランティア。きちんと対応しているつもりなのに、つっこんでくるおじいさんがいて頭が痛い。

職場体験による成長と、博物館の魅力紹介をダブルで書こうとしている感じで、それなりに成功はしていると思う。著者は『ぼくたちの骨』でもちょっと出てきた博物館とのお付き合いが続いているのかも、などとも思いました。