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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

いわずにおれない

 

いわずにおれない (be文庫)

いわずにおれない (be文庫)

 

 まどさん96歳当時のインタビューと会話に出てくる詩をまとめたもの。小さな命(アリ、ノミ、カ・・・)や無生物(ページ、つけもののおもし、ゆのみ・・・)そして宇宙へまで向けるまどさんのまなざし、老いによるボケも笑いにかえておかげ様と感謝する姿勢、”ガイコツ顔”が頬杖に楽でありがたいとまで言ってしまう。

語られる言葉にハッとさせられることばかりですが、読む時の年齢、状況によって刺さる言葉、文章はちがってくるでしょう。14ページ「一生懸命になるっちゅうことは、自分が自分になること。」「自分が自分であること、自分として生かされていることをもっともっと喜んでほしい。」いま私はこの言葉を、勤め先の高校生に届けたい。言葉の力を受け取れる人になってほしいです。

抽象画作品も残し、言葉よりも自由自在に描ける絵の方が望みだったと話すまどさんが、それでも言葉を使い「いわずにおれなくなる」ことに、そのとおりだーと叫びたい気持ちになりました。   (F)