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けちんぼおおかみ

 

ある日おおかみが、海辺にうちあげられたクジラを見つけた。たらふく食べたうえに肉をくわえて山に帰る途中、人間の村を通りかかると小さな兄弟が肉をねだってきた。でも、おおかみはしらんぷり。すると子どもたちは怒ってどなった。おまえはみぞれにうたれて、ぶったおれて土をかぶりそこに木が生え、鳥やけものが来てふんをたれておしまいになるぞ、と。それでも知らん顔で山へと向かうが、林に来かかった時、おおかみの口から子どもたちの恨みの言葉が次々飛び出し、その通りのことが起こる。とうとう動けなくなってしまったおおかみは、仲間が来るたびに欲ばりはいけないと言い聞かす。おおかみをこんな目に合わせた小さな兄弟は、実はアイヌの国つくりの神の子だったのでした。
北海道石狩に伝わるアイヌユーカラが原話で、見返しに描かれた民族衣装が美しくそれを伝えます。神沢利子文、赤羽末吉絵の「日本のむかし話」シリーズ。 (は)