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竜と舞姫

 

竜と舞姫

竜と舞姫

 

 遣唐使の従者として唐に渡った14歳の小麻呂には野心があった。それは、唐の進んだ医学を身に着け故国で出世すること。だが安禄山事件直後の唐では混乱が続き、小麻呂の夢は断たれる。しかし共に帰国した遣唐使藤原清河の娘喜娘(きじょう)との出会いが、小麻呂の希望となる。とはいえ今をときめく藤原氏の娘と下級役人小麻呂のつながりが続くはずもなく、身分がない小役人に出世は望むべくもない。自分の生きる道を見失った小麻呂であったが、出世ではなく自分とおなじ庶民のために喜娘と共に生きる決意をする。全体の感覚が、平安時代というより現在風なのが気になる作品でした。