児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

地獄の使いをよぶ呪文ー悪魔と魔女の13の話

 

ドイツの各地方に伝わる昔話をプロイスラ―流に語りなおしたシリーズ2巻目。

「黒い聖書」を手に入れたファウスト博士が悪魔を呼び出すことに成功するが魂を渡す契約をしてしまう「ここにサインを!」。有名な医術師パラケルススが生き返る術を忠実な召使いに託して死ぬも牛飼い少年の出来心で命を取り戻せない「1本多い刻み目」と、始めの2話は怖い話。

町一番の居酒屋から銅貨が盗まれた事件について情けある解決をした神父の話「どろぼうが!どろぼうが!」や、貧しい子どもたちに食べ物を恵んでやる「ことばどおりに」などは、あたたかな人情を感じる。水車小屋見習いから魔術師になったクラバートと大王がハエに化ける「秘密の作戦会議」や、1年に1度魔女たちが集まるヴァルプルギスの前夜の話「さあ、飛んでおいき、どこにもないところまで」はちょっとゆかい。(は)