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魔法の学校―エンデのメルヒェン集

 

魔法の学校――エンデのメルヒェン集 (岩波少年文庫)

魔法の学校――エンデのメルヒェン集 (岩波少年文庫)

 

1996年刊行の単行本より10編を文庫化。 エンデならではの風刺の効いた、哲学的で、大切なものに気づかせてくれる作品が並ぶ。
魔法を使うのに必要なのは「望む力」、自分の本当の望みを目に見えるように思い描ける力だと教える「魔法の学校」。見知らぬ子どもの「きにしない、きにしない」という言葉に大人が言いなりになってしまうブラックな話「きにしない、きにしない」や、冗談学者が大洋上のある島に上陸し双子の兄弟に出会って聞いた話と、小説を執筆中の船長の物語を執筆している船長の話が、その場をぐるぐる回るように終わりのない「ニーゼルプリームとナーゼルキュス」など。「レンヒェンのひみつ」「はだかのサイ」「魔法のスープ」「テディベアとどうぶつたち」「サンタ・クルスへの長い旅」「オフェリアと影の一座」は様々に個性的な挿絵による絵本もあって、本を読むのに自信のない子にはそちらをすすめるといいかもしれません。 (は)