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ドラゴンの塔 上 魔女の娘

 

ドラゴンの塔 上巻 魔女の娘

ドラゴンの塔 上巻 魔女の娘

 

 ネビュラ賞受賞作。塔に住むドラゴンと呼ばれる魔法使いのもとには、10年に1人娘が塔に差し出される。娘は何かが変わってしまい、10年後には村に帰りたがらなくなる。主人公アグニシュカは、なぜかいつも服を汚してしまう問題児の少女。親友のカシアは、美しくなんでもよくできた。カシアの母親は、優秀な彼女が選ばれることを想定してしっかりと家事を仕込んでいたが、選ばれたのはアグニュシュカだった・・・・。という冷静なイケメン魔法使いと、ドジだけど才能のある女の子のアルアルファンタジー路線の作品か! と思ってちょっとひいたが、その定石に“森”の問題をからめてきた。悪意ある存在で、少しづつ村を侵食してくる森。森に母親を奪われたことから、その奪還を夢見るマレク王子と、その王子に取り入る魔法使いソーニャ。森の攻撃は、人の心を操る。理知的なドラゴンに対し、ババ・ヤガーのような直観の魔法をつむぎだしていくアグニシュカ。二人の魔法を合わせることで思いがけないパワーが呼び出される。これで、ちょっと展開が読めなくなって面白くなってきた。