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雑種 カフカショートセレクション

 

雑種 (世界ショートセレクション)

雑種 (世界ショートセレクション)

 

 夢の中の違和感のように何とも不思議な短篇15編が収録。友人に手紙を送る男の『判決 ある物語』では、主人公の言っていることは本当か? 友人は本当にいるのか? 父親は何を怒り判決を下したのか? 読んでいると混乱するのだが、そのゆすぶられ感が妙に印象に残る。また『流刑地にて』では、体に判決文を針で刻印するのだという不気味な処刑を見学させようとする将校と旅行者のやりとり。うまく動かない機械、将校が憤る情勢の変化、旅行者の違和感など、ともかく全体的に変! 物語を整理して受け止められないのに、なんだかくせになりそう。