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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

源氏物語の教え もし紫式部があなたの家庭教師だったら

 

 

なんと源氏物語を女性が生き抜くための実用書として解説しているのだが、これが本当にその通り!と共感できる内容になっているところがすごい。平安の姫君として、どうすればうまく生き抜けるか? 身分社会の差別の中で、ただ美しいだけだと天皇に愛されても、まわりからねたまれイジメで死ぬとこまで追い込まれる。通い婚の制度の中、性のことをよく知らないのに初体験に追い込まれたり、身分の高い男にセクハラされたり、遊べれたりしかねない。女だって流されずプライドを持って、自分を大切に生きて、決断する時にはきちんと決断しないと幸せになれないよ、と物語で語っていると、具体的に紫の上や藤壺中宮の行動をもとに解説している。さらに、浮舟の流されて生きる生き方にダメ女の姿を書きながら、その浮舟がついにしっかりと尼になるという自己主張を貫いてやっと平安を得る点など、読んでいてとても納得した。いまだに生きにくい女性にとって、こうした解説書は貴重。中学生では難しいかもしれないが、高校生くらいにはぜひ読んでほしい。