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ゴースト・ドラム 北の魔法の物語

 

 

 

ゴーストドラム (ゴーストシリーズ 1)

ゴーストドラム (ゴーストシリーズ 1)

 

 1987年カーネギー賞受賞作。女奴隷のもとに来て、女が生んだ娘を跡継ぎにもらっていった魔法使いの女がいた。赤ん坊はチンギスと名付けられ、賢く健やかに育つ。それを知った魔法使いクズマがねたんでもだえるほどの聡明さだった。そして女奴隷の国には残酷な皇帝がいた。即位するために親族をすべて殺したが、当時幼なかった妹マーガレットを殺し忘れた。皇帝は周りから勧められて妃をめとり、子どもができるが、マーガレットは生まれた子は皇帝を倒そうすると予言する。予言を恐れた皇帝は妃を塔の上の小屋に閉じ込める。王子が生まれたときに妃は亡くなるが、王子サファは乳母とともに、そこに閉じ込められて成長する。成長とともに外への激しい好奇心に苦しみ、王子に外を見せたいと願った乳母は、その願いを王に告げたために処刑され、王子は孤独となった。そしてその孤独の叫びがチンギスに届く。チンギスは魔法の力で王子を開放して自分の弟子としてやった。やがて皇帝は病で死ぬが、女帝となったマーガレットはサファを殺そうとするが塔からその姿が消えたことを知る。クズマは女帝に近づき、力を貸してくれればサファをとらえると持ち掛ける。壮大で冷酷な帝国と魔法のイメージ、死の国までもめぐる世界の広がりと、堂々たる神話世界を展開してくれる作品。ただ、読書力がないとこのイメージについていけないかもしれない。