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ゴーストソング

 

ゴーストソング (ゴーストシリーズ 2)

ゴーストソング (ゴーストシリーズ 2)

 

 皇帝の奴隷の狩人であるマリュータは、クロテンを狩ったときクロテンのような黒髪、雪のように白く、血のように赤い息子が欲しいと願った。心待ちにしていた息子が生まれた夜、魔法使いグズマはその子をもらいに来たが、マリュータは激しい息子への愛ゆえに断固拒否した。だが、息子アンブロージは、成長するにつれて不思議な歌を歌い、物語を語り、他の村人から疎まれる男の子になる。一方、トナカイを狩る人々の村にもグズマがあらわれた。ここでも子どもを求めるが、誰一人応じようとはしない。グループのリーダーの息子で賢い少年<狐にかまれた子>は、グズマに立ち向かおうとしたが、部族全体がオオカミになる呪いをかけられてしまった。夜が来るとオオカミに変わり、夜が明けない冬は人間に戻れなくなるのだ。呪いを打ち破るのは死者の世界ゴーストワールドの鉄の木の中の呪いを埋め込んだ骨が砕かれるとき。そしてそれができるのは魔法使いの跡継ぎになるはずだった男の子のみ。ゴーストドラムを反転させたような展開の中で、アンブロージと狐にかまれた子という魅力的な二人の少年の姿が描かれる。嫌われ者のグズマ、ある意味あわれですね。