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ソロモンの白いキツネ

 

ソロモンの白いキツネ

ソロモンの白いキツネ

 

アメリカはシアトルに住むソルことソロモンは、父親と二人暮らしだ。黒髪と黒い瞳の外見のせいで学校ではいじめられ、祖父母のいるアラスカに行きたくてたまらない。だが、父親は妻の思い出が多すぎる故郷につらすぎて帰れない。そんなとき、シアトルの港にホッキョクギツネが現れたとい噂が聞こえてきた。ソルは根気よく探してその白いキツネを見つけ出し、エサをやり、徐々に距離を縮めるが、キツネは罠でとらえられてしまった。キツネが処分されないように、故郷のアラスカに返してやりたい。ソルは懇願して父親とともにキツネを連れてアラスカに向かう。祖父母の所で初めて知った母親が彫刻をしていたこと。キツネを放してやり、そこで暮らしたいとソルは願う。母親の化身を思わせる白いキツネと出会うことで解放されていくソロモンのささやかな物語は気持ちよい。