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<少女小説>ワンダーランド

 

「少女小説」ワンダーランド―明治から平成まで

「少女小説」ワンダーランド―明治から平成まで

  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 単行本
 

 明治から平成までとして少女小説の変遷や、その時代ごとの需要と供給を解説している。女学校の成立で、小説を楽しめる購買層が生まれ、良妻賢母という国の方針に反し、娘でも妻でもない少女同士のつかの間の自由描いた作品で一世を風靡する吉屋信子や翻訳小説。戦後、当初のジュニア小説に飽き足らず、同世代の氷室冴子などが登場して爆発的に広がる作品群(そこから直木賞作家もでてくる)、そしてさらにファンタジーやBLに展開する軌跡がよくわかる。まわりからの規制にあらがって、自分たちが欲しいものに手を伸ばしていた少女たち。バカにされつつ、あたらしいものを生み出していったパワーは重要。