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嵐の守り手 1 闇の目覚め

 

嵐の守り手1.闇の目覚め

嵐の守り手1.闇の目覚め

 

 舞台はアイルランドのアランオア島。両親はその島出身だが、父親の死後、母親は悲しみで島を出た。心の療養が必要になった母は、姉タラと弟フィオンを島の祖父のもとに送る。祖父は海難救助をしていたが(父もそうだった)、今はろうそくを作っている。そのろうそくには一つ一つ名前がついていて、ろうそくに火をつけると不思議なことが起こる。なんと、そのろうそくにこめられた時間にトリップするのだ。姉は去年祖父のところに来た時に出会った男の子バートレイに夢中で、願いをかなえてくれるという海の洞窟を探す冒険にチャレンジしているのにフィオンを仲間外れにする。代々続く島の〝嵐の守り手”の座をめぐる争い。島に伝わるダグサとモリガンの間の善悪の戦いがその背景に浮かび上がる。「闇の戦い」シリーズと同系統の物語で、悪がこんなにただの悪、また主人公がその宿命を背負う血筋という設定は、ちょっと類書を読みすぎたので個人的には食傷気味。ただ、私のようにスレてなければ十分に楽しめるだろう。