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クレンショーがあらわれて

 

5年生のジャクソンは怖い。パパとママのようすがおかしいから。以前妹のロビンが赤ちゃんだった時、家が無くなって、しばらく車で暮らした。あのころにちょっと似ている。あの時、突然クレンショーがあらわれた。ぼくにしか見えないネコ。でもおしゃべりができる想像上の友だちだ。科学的なことが好きなジャクソンとしては今となっては認めたくない体験だ。だがクレンショーがまた戻ってきた。病気で体長が悪く、なかなか仕事が長続きしないパパと、パートを3つもかけもちしているママ、頑張っているのにお金は足りない。食べ物を買うお金だってままならない。家じゅうのものをガレージセールに出して売らなければならなくなり、不安がつのる。クレンショーは言う。本当のことをきけと。子どもにつらい思いをさせまいとするが、実際に飢えさせてしまう生活というのは恐ろしい。子どもに心配かけさせまいと明るくふるまう親。でも、もう本当のことが知りたいジャクソン。現在の日本でもそうした家庭があることを思うと必要な本であると思う。