児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

10分あったら・・・

 

 パリから郊外の田舎町への引っ越しでうんざりしているティム。一人で2日間で留守番になったけど友だちはいないし、遊びに行けるような所もない。お父さんとお母さんは、会社の突然の解雇への抗議の裁判のためにパリにいくのだが、ガス湯沸かし機の取り付け工事のためどうしても留守番が必要で残されたのだ。「10分あったら壁紙でもはがしておいてくれ」と、出がけのお父さんから言われ、ダサイ壁紙をはがし始めたところ妙なメッセージを発見。直後に隣の家のちょっと変わった女の子レアが「この家には殺人事件があったのよ」と不気味なことをささやいてきた。ネットで調べると、たしかにこの家の以前の住人が銀行から金の延べ棒12本を盗み、刑期を終えて戻って早々に階段から落ちて死んだことがわかる。どうやら壁紙の下にはその手掛かりがあるらしい。ティムはレアと組んで、壁紙をはがしてお宝の手がかりを探ろうとするが、やってきたガス工事屋、壁紙の下から出てきた名前の男など、次々に怪しい人物が現れる。最後に発見された意外な隠し場所も良くできていて、ハラハラドキドキのミステリーとしても楽しめる。フランスの児童文学というと、イマイチと思っていたが、なかなか楽しい佳作。