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ヤーガの走る家

 

ヤーガの走る家

ヤーガの走る家

 

マリンカの家にはニワトリの足があって走る。おばあちゃんはヤーガ、毎晩、死者の魂をこの世から死者の国へと送り出している。人に知られないように、まちから離れた場所をあちらこちらと移動して暮らしている。小さかったころは、家が遊び場を作ってくれたり、おばあちゃんが毎晩の死者とパーティーを開くのが大好きだった。だけど今は人間の友だちが欲しいし、ヤーガの仕事を継がなければならないのが嫌でたまらない。偶然出会ったベンジャミンとお友だちになれそうになったのに、家はすぐ移動してしまった。そのあと、ニーナと出会う。死者だとわかっていたけど、同じ年頃の友だちが欲しくて、ヤガーにないしょで部屋に隠していた。でもニーナはだんだん薄くなっていった。そして禁じられていたのに家から離れた自分も! ニーナをみつけたヤーガは、死者の国まで送り届けるため一緒に行ってしまった! そして自分自身の隠されていた秘密にも気づく。友だちが欲しい、自分の未来を自分で選びたい! ヤーガに帰ってきて欲しい! 自分勝手といえる位に激しく求めるマリンカだけど、子どもなら当然の願いだよね。いったいどうなるの? とドキドキ。挿絵はかわいらしいけれど、なかなかハードな展開です。