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少女小説家は死なない!

 

少女小説家は死なない! (コバルト文庫)

少女小説家は死なない! (コバルト文庫)

  • 作者:氷室 冴子
  • 発売日: 1983/11/10
  • メディア: 文庫
 

コバルトの女王氷室センセイの内幕もの!?

北海道から上京して、花の女子大生生活を始めた朝倉米子は、何の因果か同郷の少女小説作家火村彩子に居座られてしまった。思い入れはすごいけど、理解できないようなご都合主義の物語展開。それを指摘しても「ファンタジーだから当然!」と開き直る。なんとか火村が定期連載を手に入れ自立してくれないと米子の大学生活は闇。そこに少女小説家の競作企画が持ち上がる。スプラッター場面を微に入り細に入り描写する富士奈見子、旧仮名づかいで「お姉さま」など大時代的なロリータ作品を書く津川久緒、ジュニア・ハーレクィーン風ですぐ「海が見たい」と展開する関根由子、官能少女小説で『ニャンニャン♡させて』の著者都エリ。ところが、まじめに作品で勝負する前に、互いの家を襲撃して原稿を盗みあうというとんでもない展開に! せっかく大出版社に就職できたのに、ジュニア小説とは左遷だとやる気のない編集者たち。自虐ネタ炸裂の展開がなんとも楽しい作品。