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まねが育むヒトの心

 

まねが育むヒトの心 (岩波ジュニア新書)

まねが育むヒトの心 (岩波ジュニア新書)

  • 作者:明和 政子
  • 発売日: 2012/11/21
  • メディア: 新書
 

ヒトらしい心の発達について、サルやチンパンジーとの比較による「進化」のものさしに加え、ヒトとしての特徴、らしさはいつの時点から、どのように、なぜ、といった「発達」の視点で解説します。正直言って、読解するのがとても難しかったのですが・・・興味深い指摘がたくさんありました。
たとえば、心の発達は胎児期から始まっているので、その意味で早産児に人工呼吸器を挿管したり採血したりしてストレスを与えるのは、命は救えても心のサポートは?という懸念。発達障害のリスクが高いこともわかっているそうです。
また、ヒトの子育ては母親以外の他者の積極的な関与を前提としていて―それは血縁にかかわらず地域社会や里親でもよい―それを可能としている「利他的な行動」を1歳半の子でさえ示す(困っている大人を手伝う)という実験はおもしろくて感動です!ヒトらしい他者への共感力を手放してはいけないと思わされます。
講演録『人類の育児スタイルは共同保育』(NPOブックスタート)に、本書のエッセンスがぎゅっと凝縮されていますが、実験写真は本書で確認できます。  (は)