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みずをくむプリンセス(2021年課題図書 小学校低学年)

 

みずをくむプリンセス

みずをくむプリンセス

 

現在はスーパーモデルとして活躍しているジョージーさんの子ども時代の実体験をもとにした絵本。

ジージーは、アフリカに住む女の子。自分はプリンセスだって知っているし、かあさんもプリンセスと呼んでくれるけど、水を呼び寄せることはできない。だから朝早いうちからかあさんに起こされて水を汲みに行く。長い距離を歩いてやっとたどり着き、泥の混じった茶色い川の水を汲む。そして長い距離をうちまで帰り、その水を沸かして飲み、洗濯や料理もする。寝る前にかあさんが最後の水を飲ませてくれる。きれいな水が手に入るといいといと願いながら眠りにつく。水を手に入れるだけでも大変な生活だが、アフリカの広い大地、やさしいかあさんととうさん、仲良しの友だちにも囲まれ、決して悲壮感はない。現在、井戸を作るプロジェクトを作って支援しているというが、きれいな水を安心して手軽に入手できない人が世界の1/4もいるというのは残念な真実。こうした絵本をとおしてプリンセス・ジージーを友だちとなって、心に止めて欲しい。感想文としては「知りませんでした。」という驚きがあると思うが、プリンセスは「かわいそう」な子ではない。プリンセスにあって私たちにないものもある、一緒にいろいろなことを解決できますようにと願って欲しい。