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オラウータンに会いたい(2021年課題図書 小学校高学年)

 

オランウータンに会いたい

オランウータンに会いたい

 

オラウータンの研究者によるオラウータンの生態を紹介している本。誠実に書かれているが、淡々としていて」本を読む習慣がないと子だと、飽きるかもしれない。フィールド観察のようすなどが描かれて、群れを作らない霊長類という特殊な暮らしぶりやそうなった背景などが語られる。淡々としているように感じた理由は、日誌記録の要点という感じで著者の心の動きがあまりないからかもしれない。2人の子育てもした女性研究者だということがわかるが、そのプライベートな大変さもほぼ触れられていない。ジャングルでオラウータンを追いかけていくことと仕事で給与をもらうことが読んでいてうまく結びつかなかった。オラウータンは現在絶滅に直面していて、それについても最後で紹介されているが。ジャングルが失われたことと、私たち日本の暮らしが関係していると言うことなど、重要であるが、この複雑な問題をどのようにとらえるべきかも深くつっこまれてはいない。これで感想文を書くとしたら、自分でもオラウータンについて調べて、それと絡めたり、熱帯雨林の開発問題と絡めて進めていく感じがよいかも。