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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

橋の上の子どもたち

 

 インド出身の作家によるインドを舞台にした作品。ラクとヴィジは姉妹。ラクが姉だが、ヴィジはいつもラクのことを気にかけている。母さんは、ラクを外に出したがらない。ラクの発達が遅れていることを気にして精神病院に連れていかれると心配しているのだ。母さんはいつもやさしいけど、父さんはお酒を飲むとおかしくなる。ついに母さんだけでなく私たち姉妹まで殴るようになった。このままでは危険! ヴィジはラクを連れ、こっそり家出をして長距離バスに乗って街へ逃げ出した。だが、運賃は思ったより高く、早々にお金はつきた。話しかけてくる大人はみな怪しい。偶然出会ったアルルとムトゥは、使われていない古い橋に寝場所を確保している男の子たち。ラクのことを自然に受け入れてくれた彼らと仲良くなり、ゴミの山をあさって、リサイクルできるものを売ってお金を得るストリートチルドレンの仕事を手引きしてもらう。ラクはマイペースだが、アルルやムトゥと一緒に、これまでならできると思えなかったようなことまでやって生き生きしてきた。なのに女の子をねらう大人から逃れるために、しかたなく蚊の多い墓地に寝場所を変更した直後、ラクとムトゥは高熱を出して倒れてしまう・・・。
実際にインドでこうした路上で暮らす子どもたちのための活動をするNGOにかかわったという著者が、そこできいた実話を物語に反映されているとのこと。知的ハンディがある姉ラクを守りたいと思いつつ、それがラク自身がいろいろやることを疎外してきたかもしれないという気づきや力を合わせる子どもたち。そうした子たちに手を差し伸べる大人と食い物にする大人。日本の現状とは違う面もあるけれど、勝気なヴィジに共感して読み、いろいろと考えるヒントをもらえると思う。