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村の樹

 

村の樹

村の樹

  • 創風社
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日本の南の島、ぼくの生まれ育った村には、川岸に大きな樹が立っていた。夏になるとぼくたちは、その樹や川で存分に遊ぶ。樹の上に家を作ったり、せり出した枝から川に飛びこんだり。水の中に「イイイ」と息を吐きだしながら泳げばまるで機関車のよう。魚のいろんな取り方を教えてくれる大人たちもいた。日が暮れると水は急に冷たくなり、ぼくたちは急いで着物を来て帰る。どっさり取れた川えびをおみやげに持って。川えびは夕食のおかずや家畜のえさになってみんな大喜びするのだ。
八島太郎は鹿児島に生まれ、1939年渡米。異国の地から故郷の風景や体験を描く作品をつくりました。夏に躍動する子どもたちの姿は、私たちにも古きよき日本の感覚を抱かせます。 (は)