児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

海は広いね、おじいちゃん

 

おじいちゃんと一緒に海へ来た男の子。「広いねえ、おじいちゃん」「船だよ」「だれか泳いでくるよ」と、おじいちゃんにせっせと話しかけます。でもおじいちゃんは、パラソルの下で背を向けて熱心に読書中。こちらを向きもせず気のない返事ばかり。「象さんだよ」「お馬だよ」「女の人だよ」!で初めてふり向いたおじいちゃん。女の人がくれた星型クッキーを食べると何だか不思議な気分に。おじいちゃんの読んでいた本は「宇宙人の研究」でした。そうするうちに、そろそろ帰る時間。おじいちゃんの後ろで空へ飛んでいく宇宙船。男の子とおじいちゃんもパラソルをひっくり返した船に乗って、空へ飛んでいきます・・・?!
おじいちゃんの見ていないところで起こっていることを私たちはちゃんと見ているので、かみ合っていないけれど成り立っている2人の会話におかしさがあります。が、集団でのよみきかせの場合、対象年齢に迷うところです。4年生くらいになれば大人と同じユーモア感覚で楽しむでしょう。そこがわからない年齢でも、いろいろ姿を変える宇宙人と男の子が遊ぶのは楽しいし、最後はむしろ大人の方がどういうこと・・・?と考えこんでしまう五味太郎さんの世界です。 (P)