児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

わたしたちだけのときは

 

 きれいな色の服を着ているおばあちゃんに「どうしてそんなきれいな服を着ているの?」と聞くと、おばあちゃんは、子どものころ家から離されて同じ暗い色の服を着せられたからだと話してくれた。だけど友だちだけの時は、色とりどりのはっぱで服を彩ったと。髪を短く切られ、それまで話していた言葉を禁じられ、家族や兄弟と別々にされながらも、仲間だけの時は、禁じられたことに静かに抵抗し抵抗し、今、鮮やかな服を着、髪を伸ばし、部族の言葉を話し、弟と仲良くしている。カナダで実際にあった同化政策による悲劇を伝える絵本のような形式の本。淡々と語りながら、その非道とそれに負けずに誇りをまもったおばあちゃんの姿が魅力。最後に、解説でその事情が書いてあるので、解説まできちんと見せてあげると、本の内容がやっとわかるだろう。こうした同化政策は、世界中に(日本でも)あり、今も続いていると言える。それと、制服の強制とか、今の日本でもあるよなぁと思わず考えたりと、読後にいろんな感想がでるかもしれませんね。