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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

ミカンの味

 

 同じ中学で同じ映画部に入ったことから仲良くなった4人の少女。ダユンは成績が、とりわけ外国語が優秀だが、家では病弱な妹に親の関心が集中していて、自分のことはいつもあきらめるように暮らしている。ヘインは父親が知人にお金を持ち逃げされ、暮らしが急激に傾く事態に直面。母親はいくつも仕事を掛け持ちしながら家事もしっかりやっている。なのに、ヘインの進学の手配はすべて母親のせいにして、父は母にクレームばかり言うのが耐えられない。ウンジの両親は離婚し、今は母と祖母の3人暮らしでとても快適だ。だが、ウンジがいじめ被害にあった時、相手の父親は、ウンジの父と男同士の話がしたいとやってくる! そしてソラン。ごく平均的な家庭で成績も特にぱっとしない普通の子だ。この4人が同じ高校に行こうと誓いをたてるが、それぞれの家庭の親や先生には思惑がある。そして不審な電話による受験妨害も発生、はたして犯人は? とちょっとミステリータッチな雰囲気で物語が進む。タイトルは、4人が旅行に行った先でミカン狩りをして食べたミカンの味に感動するエピソードから、旅先のミカンは、なぜ美味しかったのか? メイクに励む韓国の中学生の生態にはびっくり(現在公認されているらしいですよ。日本の中学生は、ぜひ参考に)、受験制度も日本とは違う、だが、未来への不安と希望を抱えながら、友だちが欲しいと感じている思いは全世界共通。ショッピングセンターで試食を食べたり、化粧品のお試しをしまくったりしながらひっついて過ごす時間。無駄なようだけどそうせずにはいられない中学生のモヤモヤした感じ。日本の同世代の子だと、どう読むかな?