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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

アイヌ ネノアン アイヌ

 

アイヌ文化の伝承に尽くした萱野茂さんが、自身の子どもの頃の思い出からアイヌ文化を紹介する。2つに分かれる思い出。春夏秋冬の自然を遊びつくし、家族で囲炉裏を囲んで食事、おばあさんがアイヌ語で語る昔話をききながら眠る幸せなものと、和人(日本民族)の侵略による悲しい思い出―主食のサケ漁を禁じられ、住まいのための木を切ることもできず、アイヌの生活文化をまったく否定されたこと。アイヌ(人間)と神は対等だからこそ神を大切にし神からも守ってもらうという独特な考えが、アイヌの衣食住、そして2つ紹介されるおばあさんの昔話にもよく表れている。タイトルは「人間らしい人間になるんだよ」とくり返していたという母親の言葉。和文化とは異なるおもしろさ不思議さ美しさ尊さ、侵略の歴史もしっかり心に留めたいです。 (は)