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おじいちゃんとの最後の旅

 

スタルク最後の作品。スタルクの愛読者ならすぐわかる、著者自身でもある策略家の男の子ウルフと、冷静でちょっとウルフとはそりがあわない歯医者のパパ。でもウルフはおじいちゃんが大好き。入院していてろくに動けないおじいちゃんを年上の友人アダムの助けをかりて病院からこっそり連れ出した。おじいちゃんは死んだおばあちゃんと暮らしていた家に行きたかったんだ。おじいちゃんは、おばあちゃんが最後に作ったジャムを持ち帰り、少しづつそれを食べながら最後に向かおうとしている。口汚くて、乱暴だったおじいちゃんが徐々に元気をなくしていき、最後に別れを告げることになる。おじいちゃんとの思い出を描いた作品と言えると同時に、自分の死に向かい合った作品かもと思わず考えたりもしてしまう。さいご、おじいちゃんが大好きなおばあちゃんと肩を寄せ合うイラストで終わっているのがとてもいい。