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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

こどものとうひょう おとなのせんきょ

 

町の選挙が始まった日、児童館でも子どもたちが集まり、広場の使い方を相談していました。そこへ選挙カーが通って「わたくしに投票をお願いいたします」。そうだ、投票で決めようということになり、さっそく投票開始。多数決で野球が圧勝し、広場は野球チームがまず使うことになりました。ところがその後、雨上がりの水たまりで野球が出来ないのをいいことに鬼ごっこをする子たちや、投票のし直しで勝った鬼ごっこチームの中にほかの遊びを始める子がいたり、その度にけんかが起こります。見かねた6年生のトキあんちゃんが「数が多いからいいんじゃない」と一喝。2回の投票で子どもたちが取り上げなかった「使い方の委員を選ぶ」という意見の重要性を説く。こうして子どもたちは、委員の提案に基づいてルールを決め、広場の遊び方でもめることはなくなりました。でも、子どもの遊ぶところに比べて広く立派な大人の遊ぶところが増えていること。大人の選挙に任せていていいのだろうかという子どもたちの心配が最後にちくりと。「民主主義の真髄」を取り戻したいという、かこさとしさんの願いです。 (は)