児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

海を見た日

 

ナヴェイアの願いは、なんとかこのまま無事に中学生を終え、高校に進学して奨学金をもらい大学の医学部に進学すること。2歳で孤児になって、いろいろな里親をたらいまわしにされた。今のミセス.Kも良い里親とはいえないけれど、今までの中ではマシ。だからこのままここを拠点にして高校卒業を目指したい。そのためには、ミセス.Kが里親を投げ出さないように、私が家事や他の子をめんどうみなくちゃならない。努力家の優等生として歯をくいしばって頑張っているナヴェイア。里子の弟ヴィクは、母親が死に、父がエルサルバドルに強制送還された後、父親は祖国で拘束されていて、自分はいつか父を助けるためスパイ活動をしてるという妄想の中で生きている。さらにもう一人の里子の女の子マーラはスペイン語以外ほとんどしょべれない。そんなところにクエンティンが来た。アスペルガー症候群だという潔癖な男の子。クエンティンは、どうしても母親に会いたかった。ヴィクはそれを助ける計画をたて、なぜかマーラもついてきてしまった! ナヴェイアはなんとかしてみんなを無事に連れ戻し、ミセスKが里子を投げ出してしまわないようにと後を追うことになる。4人それぞれの思いがあるが、中でもなんとかして今を変えたいと必死に戦っているナヴェィアがすごい。舞台はイギリス、里子に家で仕事をさせたり、単に金目当てで引き取る人間よりはましだけどミセスKも、弱い人間で、実質的にはネグレクト状態になっている。バラバラだった子どもたちが、クエンティンの母親を病院に探しに行く旅を通じてしだいに一つになっていく過程が魅力。病院に向かう途中で、ふと「しなければならないこと」からはずれて観覧車に乗ることを選ぶナヴェィア。たまには息抜きしないとつぶれるよね。みんなどこか欠けているけど、だからこそ助け合えるのかも。