児童書評価のページ

新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

分かれ道ノストラダムス

 

ネギことあさぎは高校1年。2年前密かに好きだった男の子基が心臓病で急死した思い出が心の奥でよどんでいる。3回忌に友だちと訪ねたときに、基のものだったというノートを預かった。そこに描いてあった不思議なマークについて、クラスの中でもその手のことに詳しそうな八女君に相談したことがきっかけで、久慈さんというちょっとオタクなおじさんに紹介され、基が両親が交通事故で亡くなったことをパラレルワールドで解決しようとしていたと示唆される。自分も基が死ななかった世界を考えたいというネギに、久慈さんは、そうしたことを考えることで誰かを責めないようにと諭してくれた。時は1999年7月。ノストラダムスの大予言では世界の終わりが来ると言われ、オウム真理教を思わせるようなアンチ・アンゴルモアという団体が事件を頻発させていた。なぜかその団体に目を付けられ、カウンセラーの桐が救いの手をさしのべようとしてくれる。さらに久慈こそアンゴルモアの教祖だと知らされネギは混乱に陥る。次々と状況がかわりスピード感がある展開だが、ちょっとネギの暴走(ケーキ屋のカウンター内に飛び込んで注文帳を調べるとか)は無理がありそうな気もする! パラレルワールドや大予言などに揺さぶられながら、現実の中で物語が展開する点は良かったです。