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闇に光る妖魔 アサギのよぶ声

 

『アサギ・・・』の直接の続編ではなく、孫のヤヒコが主人公。さらに弓つくりの工人の娘ユンがもう一人の主人公。アサギからの伝統で、12歳になると村を出て何かを探さなければならないという課題を課されたヤヒコ。偶然出会ったラオというどこかうさんくさい男と共に、仲間に伝えてという捕らえられた男の子の思いを届けようという思いから初の公開にチャレンジする。ユンは病で母が死んでから無気力になった父に悩む中、役人のいない自由な国にいくというシューさまの言葉に魅せられて父を説得して航海に出る。だが、先に行っていたはずの友人のヤーイを含め、作られた集落は無人になっていた。みんなが不安に駆られる中、シューさまや次のリーダーの名乗りをあげたフェイが殺される。難破したヤヒコがユンのいる集落に流れつくことで、事の真相が明らかになっていく、という物語。残念ながら、全体に物語の流れに説得力がなかった。ラオは、一人では船が動かせないためヤヒコを巻き込んだことがわかるが、2人で動かせる(しかも言葉が通じないほど離れた場所までいく)船ってどんな船。たぶん帆船だと思うけど、ヤヒコのような初めて船に乗る男の子が帆船コントロールできるの? 理想の国を作ると言ったシューさまは、本気だったようだが、本人はともかく、優秀な人間を連れて出国するのを認めたのはなぜ? 言葉が通じないというけどどのくらい通じないの? 少しでも会話を成立させようという努力はしないわけ? など、設定が具体的に見えないところがひどく気になった。アサギの死にしても、トツ国はなんでアサギをさらって洞窟に閉じ込めた?? ただの腹いせ? 殺すなら、それを相手国のゆさぶりにつかわなきゃ、などとトツ国の手際の悪さが気になる。助けを求めていた男の子問題が解決されてないから、絶対続きが出ると思うけど、もういいかなぁ