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新刊・古典とりまぜて児童書を評価します

バルト海のほとりの人びと

 

ベスコフの絵本や「ムーミン」シリーズの翻訳で知られる著者。職業軍人である夫とスウェーデンにわたり、激動の時代、土地を生きた文章からバルト3国の苦しい歴史を知らされる。子どもと本のことを扱っているのは一部だが、「第2章 エレン・ケイをめぐって」、「第4章 エルサ・ベスコフ」、「第5章 アストリッド・リンドグレーントーベ・ヤンソン」は、一読に値するかと思う。 我が子を日本にのこしてきた小野寺百合子さんを、ベスコフの絵本との出合いが救い支えたこと。ベスコフに感じた母性が、エレン・ケイに受けた教育にあったこと、同じ思想にリンドグレーンが連なりトーベ・ヤンソンがそれを見抜いていたこと。 それにしても、ベスコフの絵本が日本で売れるようになるまで55年(小野寺さんの出合いから)というのが驚きでした。 (は)