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ロイヤルシアターの幽霊たち

 

かつては海水浴客で栄えたシーショー。今はすっかり寂れ、この街のロイヤル・シアターも崩壊寸前。だが、娘のグレイシーが大好きだったここを再生させようという希望を胸に両親は引っ越してきた。だが、この劇場には幽霊がいっぱい! 両親は全く気が付かないが、グレイシーには見えた。金策に走り回り、忙しい両親から離れて、グレイシーは興味津々で幽霊たちからさまざまな物語を引き出していった。さまざまな時代の幽霊たちが語ってくれたのは、この街の歴史でもある。だが、幽霊たちは両親のスポンサーに名乗りをあげてくれたサッパーの目論見を知り、グレイシーの両親に警告しようとしたとき、グレイシーは、それが不可能だという恐ろしいことに気づいてしまった! こうした展開はないわけではないと思うが、ちゃんと破綻しない理屈でまとめたところがさすがマコックラン。さいごのどんでん返しの布石がみごとでした。