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羽州ものがたり

 

東北地方の日本海側、羽州でおこった元慶の乱を背景に、この地域で育った村長の娘ムメ、孤児のカラス、都から赴任してきた小野春風の息子春名丸ことハルナ。子ども時代に友情を結ぶが、小野春風は転任。その後、無理解な領主と飢饉のため、ついに羽州は大反乱をおこす。カラスはその直前に役人からムメたちを守ろうとして反乱軍の中心となるジオの元に逃亡。反乱軍を抑えるために、再度小野春風は、人望ある藤原保則と共に秋田城へとやってくる。撤退抗戦を主張するジオたち。だがこの地方を理解し、十分な準備をしながらも住民たちと和解する姿勢を見せる彼らの姿に、村長たちは恭順した。しかし、カラスはジオの元に去る。果たして3人の友情は? 東北と都、農民と貴族それぞれの価値観や発想の違いについては現代風?で実際はもっと違うのではと思う場所もあったが、追いつめられて反乱を起こす農民を、根こそぎ殺しては貴族も困る。戦いは始める時よりも終わらせるタイミングややり方が難しい。改めて、乱の終わらせ方、という視点に興味をもった。こうしたさほど有名ではない事件を題材にした歴史物語もよい。